これまで調査や購入の手続きについて述べてきました。ここでは実際に利益を出したらどうするのかなど、実際に投資を始めたらやらなければならないことについてまとめました。
流れとしては、購入した不動産を運用し、頃合いを見計らって売却し、次の投資を検討するという事になります。運用と売却に関わる事項について見ていきましょう。
日本で不動産投資をする時にもお馴染みですが、カンボジア不動産投資においても様々な税金が課せられます。
ここでは不動産を保有していると課せられる固定資産税や遊休土地税について見ていきます。
日本でもお馴染みの固定資産税です。
対象者は、土地、家屋、ビル、土地上の建築物などの固定資産を所有している者です。
毎年9月30日までに納付しなければなりません。
税額は、農地を除き、1億リエル(約2万5000ドル)を超える固定資産について、その価値に0.1%の税率を乗じた金額になります。
固定資産価値は税務当局によって決定され、公表されます。
補足としまして、地目によっては固定資産税の対象外とされる場合もあります。
カンボジアの地目には、「住居/建設」、「生産/農業」の2種類があります。登記や権利書上にも、これら2種類の地目の種類が記載されます。
固定資産税の対象外となるのは次の条件の両方を満たすものです。
①牧場および水産養殖などが行われている土地である。
②管轄省庁や地方自治体の許可を得たもの。
対象者は、未利用のまま遊休となっている土地の所有者です。
税額は、未開発土地評価委員会が算定した1㎡当たりの市場価格を基にした評価額の2%に相当する金額になります。
こちらも毎年9月30日までに納付しなければなりません。
家賃収入などで利益を得るためには、まず賃貸借契約を結ばなければなりません。ここでは、カンボジアで賃貸借契約を結ぶ方法と注意点を見ていきます。
まず賃貸借契約は、「意思」のみで成立します。
ただし、意思だけですと後にトラブルや紛争が生じるリスクがあります。この点からも、賃貸借契約書を作成し備えた方が良いでしょう。
また、不動産賃借権に関する対抗要件として、賃借人の目的不動産の占有の取得および使用収益の継続とされている点も特徴です。
なお、賃借人が賃貸借契約満了後も借り続けられるかは賃貸人の意思次第です。
これは日本と大きく違う点で、日本では借地借家法があり、賃借期間が満了した後も法定更新制度によって借主が保護されますが、カンボジアではそうなりません。
不動産賃貸などで賃料収入を得ますと、税金が課せられます。
賃料は、源泉徴収税、付加価値税、利潤税、最低税の対象となります。
①源泉所得税
貸主が居住者である場合・・・10%
貸主が非居住者である場合・・・14%
②付加価値税・・・10%
なお、一部条件を満たしますと小規模納税者と分類されます。対象の例を挙げます。
不動産賃貸業を含むサービス業に限り、
1、同一会計年度中で連続する3か月間のサービスによる総売上6000万リエル(約15,000ドル)以上
2、将来の連続する3か月間のサービスによる総売上6000万リエル以上
3、年間のサービスによる総売上2億5000万リエル(約62,500ドル)以上の個人事業主
個人事業主については、上記の条件以下の場合は税務登録を不要とされています。
ただし、これらの取り扱いも変更の可能性がありますので、最新の情報を確認することが重要です。
③利潤税と最低税
利潤税と最低税については相互に関係しています。
税率は次の通りですが、他の税金と同じく税率通りに課せられるわけではありません。
利潤税・・・課税所得の20%
最低税・・・売上高の1%
手順としましては、①最低税を毎月税務申告時に納税、②最低税の年間合計額と利潤税額とを比較します。③利潤税額よりも最低税の年間合計額が多い場合には追加の納税は不要です。④ ③と逆に利潤税額が多い場合は、年次申告時に差額を納税します。
賃料などによって利益を得られましたら、今度はそのお金を日本に送金しなければなりません。
金額によっては金融機関から契約書などの関連書類の提出を求められることがあります。他にも金融機関によって手数料や取り決めなどが異なりますので、トラブルを回避するために事前に十分に確認しておく方が無難でしょう。
不動産を売却する場合には、購入する時の売り手の様子を思い出すのも有効でしょう。今度は自分が売る側に回る事になります。
主な税金は、資産譲渡税、利潤税、最低税などがあります。
資産譲渡税は前述した通りです。簡単に振り返ってみますと、税率は不動産売買額の4%になります。
納税のタイミングは、移転登記手続申請時になります。
納税義務は税法上では譲受人ですが、実際には契約によって当事者のどちらが支払うかは契約内容によって異なります。
利潤税や最低税は、売却利益に対して課せられます。
賃料収入と同様に、得られた利益を日本に送金する所までしっかり行いましょう。
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